理科研究部【合同】 最新情報

2024年2月

【理科研究部】埼玉県主催「川の再生交流会2024」の参加報告

2024年02月15日

2月10日(土)に埼玉会館(さいたま市浦和区)で開催された埼玉県主催の「川の再生交流会2024」に、高校2年 岩﨑君と高校1年 古里君が参加をしました。
この交流会は、県内で河川の環境に関する活動に取り組んでいて「川の国応援団」に登録されている団体の皆さんが一同に会する毎年恒例のイベントです。

第1部「全体会」

午前中は、大ホールでおこなわれた第1部「全体会」に出席をし、3つの講演を聴講しました。各講演で上映されたスライド資料は、下記のタイトルをクリックするとご覧いただけます。

◎基調講演 「埼玉県の川づくり ~浸水&親水対策は身近にある~
◎事例発表 「いい川づくりで繋ぐバトン ~川のお兄さん、お姉さんの活動~
◎県の取組 「リバサポの取組状況

第2部「テーマ別ポスターセッション」

昼過ぎに展示室でおこなわれた第2部「テーマ別ポスターセッション」において、岩﨑君と古里君がそれぞれ中心になって取り組んでいる研究について、A1版1枚ずつのポスターを前に発表をおこないました(下の写真)。
環境に関する研究者や学生(高校生や大学生)が見て下さり、交流・議論を深められました。

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第3部「分科会」

第3部は、6つの分科会の中から、それぞれが興味をもつテーマを選んで出席しました。

【第1分科会:川ゴミ】
第1分科会「川ゴミ」には、マイクロプラスチックを研究対象としている岩﨑君が参加しました。
河川のプラゴミ問題は、その現状について様々な観点から討論しあい、行政、地域、県民それぞれの結束を高め、我々のゴミ問題への更なる意識の向上が必要であると学びました。

詳しく話を聞くと、河川では特にマイクロプラスチックによる汚染が深刻であり、上流、中流、下流の全域でマイクロプラスチックは観測されているそうです。
生活排水における洗濯物の衣類繊維などや不法投棄によるものだけでなく、河川周辺の工場や建築工事中の物資にも原因が挙げられました。
その他原因も様々に考えられますが、事実として、河川に生息する魚の体内におけるマイクロプラスチック調査を行ったところ、数千匹の魚のうちマイクロプラスチックが観察されなかったのはたったの4匹だったそうです。
研究データは十分にそろっていませんが、マイクロプラスチックは生物への毒性も考えられるので、事態は良い状態とはいえないと考えられます。

このような問題に対処するためにまずできることは、まず我々が私生活で出すごみの量を減らすこと、そして排出されたごみや排水等を行政が管理・処理を徹底することが重要であると提案されました。

この課題を遂行するするために、我々が出すゴミの量に対して税金等をかけることで、(各人の所得による課税額は変動させるべき)民間人がごみに対する意識の改革を狙うことができるという考えが挙げられました。よって、このようなプラスチックごみ問題の解決には、分野・職業を超えて会議や取り組みを継続的に行い、協力していくことが重要であると考えます。

【第3分科会:川と防災】
第3分科会「川と防災」には、地震や津波の研究に取り組んでいる顧問の荒井が参加しました。県内外の河川で過去に発生した災害の事例(各人が印象的だった事例)や防災上気になる点を発表し合いました。

河川の両岸で(左岸と右岸とで)堤防の高さに違いのある事例や、津波が河口から10km以上の上流にまで遡上した事例(1983年日本海中部地震による津波の秋田県米代川の遡上)等が挙げられました。

今後の対策(課題)として、雨による河川の氾濫も津波の遡上も、過去に発生した歴史から学ぶことやハザードマップを適切に活用すること(浸水範囲に入っていないから絶対に安全というのは誤認であること)が提案されました。また、内水氾濫(垂直避難で良い場合が多い)か外水氾濫(建物の土台ごと流される水の力を受け得る)かによって避難行動の仕方が異なること霞堤のような川の水を退避させる遊水スペースを設ける必要性上流部(山崩れの危険度やダムの放流のタイミング)と下流部(河川の氾濫による浸水)を共に守る難しさ等が挙げられました。

これらを踏まえ、地域における日常からのコミュニケーションの必要性(共助)、河川が氾濫した際の浸水の順(地区によって浸水の発生に時間差が生じる)を見積もることの大切さや災害発生時の行政の動き(情報発信)の重要性が提案されました。

【第6分科会:水質改善】
第6分科会「水質改善」には、2023年12月に理科研究部で実施した芝川の水質調査を計画・運営してくれた古里君が参加しました。

川の水質と河川生態系の関係、河川における水質の維持や改善について、河川に流入する排水に焦点を置いて討論を行い、下水道の整備や家庭の単独処理浄化槽からアオコなどの原因となる窒素やリンなどを大幅に除去する高度処理型合併処理浄化槽への転換を行う方法、農業排水などを直接流さずに植物の水耕栽培などを行って水中からのリン除去や硝酸態窒素の除去を行う方法、河川への農薬流出を減らす有機農法の実施などが意見として挙がりました。
そして河川の景観や水質の悪化をもたらしている河川ゴミについても着目し、レクリエーションとして行うカヌーの河川清掃や環境教育としての生物・清掃調査などの例を通して、公的機関による河川の管理と地域住民の河川への関心と意識を高めていくことが重要であるという結論に至りました。

理科研究部では、2024年度以降も芝川をはじめとする河川の環境に関する研究を継続します。
栄東中学・高等学校へ入学されましたら、ぜひ理科研究部で一緒に取り組みましょう!

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